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minofoto and miscellaneous notes

個人的な備忘録ですが、たまに広く読んでもらいたい記事を書くこともあります。記事は随時修正したり追記したりすることがあります。

微小粒子状物質 PM2.5

中国の大気汚染が比較的高濃度で日本に流れてくる、という予測が話題になっています。
【悲報】中国の「死亡級」毒スモッグが29・30・31日に日本どっぷり包むぞ・・・ - NAVER まとめ
かなりセンセーショナルに扱われているのですが、本当に危険なのでしょうか?ちょっと考えてみました。

結論だけ言うと、たいしたことではないが、気になる人はマスクをして外出すればいいのではないかと思います。以下調べたことをつらつら書いてみます。


話題の PM2.5 というのは、大気中に舞っているおよそ直径2.5 µm 以下の粒子状の物質です。詳しい定義は
SPM,PM2.5,PM10,…,さまざまな粒子状物質 (2001年度 20巻5号)|国環研ニュース 20巻|国立環境研究所
に説明されています。粒子径が小さいと簡単に地面に落下しないので、長時間大気中に浮遊するため、人が吸入する可能性も高くなり、更に鼻やのどの粘膜に吸着されずに肺まで到達する可能性も高いようです。

中国では

北京環境観測センターの担当者によると、22日午後3時以降、北京市ではPM2.5と呼ばれる微小粒子の濃度が南東部から北部に向かって高まり始め、大気汚染の程度が顕著に上昇。PM2.5濃度の平均値は1立方メートル当たり200〜300マイクログラムに達した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130123-00000028-xinhua-cn より

となっていて、外出しないほうが良いほどの汚染になる日があるようです。

では、PM2.5 がどの程度高いと、どの程度の危険があるのでしょうか?

有害微小物質PM2.5の環境基準案固まる | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト

この記事にざっくりと紹介されています。PM2.5 の吸入によって、喘息などの呼吸器系疾患や循環器系疾患のリスクがあるようです。詳しくは
中央環境審議会大気環境部会微小粒子状物質環境基準専門委員会
にて、日本で2009年に環境基準を決めたときの議論と資料を見ることができます。全部は見ていないのですが、おおまかに、50-100 µg/m3 で人に対する影響があるようです。また、これより少なければ大丈夫、という閾値が知られていないことから、今のところ少なければ少ないほどいいと考えるべきでしょう。

今回のニュースの元になっているのは SPRINTERS というシステムを使ったこの予測のようですが、
SPRINTARS PM2.5予測・黄砂予測 (九州大学応用力学研究所 竹村俊彦博士 ほか)


上の画像のように、東北以南の日本では、たとえば30日6時には 10-50 µg/m3 の PM2.5 の飛来が予想されるようです。(日本の濃度が高い時間を選んでキャプチャーしています。)

上記はシミュレーションなので、実際のデータがどうなるかにも注意する必要があるでしょう。実測データは 大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)ホームページ で見ることができます。PM2.5 のデータを取っている地点が少ないのですが、例えば
http://soramame.taiki.go.jp/DataList.php?MstCode=16201400(富山岩瀬)
にあります。過去のデータは 環境省_微小粒子状物質(PM2.5)測定データ にもあるようですが、残念ながら 2010年までのデータしかありません。

過去のデータを見ればわかりますが、我々は過去にもっとひどい大気汚染を経験していたので、それと比べると、中国から飛来する PM2.5 がそれほど危険とは思えません。例えば平成13年-14年の埼玉県戸田・蕨のデータを見ても、30-50 µg/m3 という値がよく観測されています。とはいっても、中国から飛来する汚染物質でアレルギーや喘息が増えているのではないか、という話も耳にしたこともありますし、成分の違いがあるかもしれませんので、喘息やアレルギーの傾向のある人は外出時に、気休めにマスクぐらいしておいたほうがいいのかもしれません。マスクで防ぐことができない粒子径とはいえ、マスクがある方が多少は防げるかもしれませんから。

追記

PM2.5 の害については、次の専門家の記事を読んだほうが幸せになれると思います。

PM2.5の基礎情報:その定義と発生源と環境中濃度と健康影響と基準値とYシャツと私(v1.2版) - Take a Risk:林岳彦の研究メモ