minofoto and miscellaneous notes

ごく気まぐれに,書きたいことを適当に書いています。本当の話かもしれませんし,フィクションかもしれません。

冬の丹沢表尾根

  • 新宿 5:31 −小田急線→ 秦野 7:05 −バス→ 蓑毛 7:30 → ヤビツ峠 8:20 → 三ノ塔 9:40 → 行者岳 10:40 → 新大日 11:15 → 塔ノ岳 12:00 (昼食) → 鍋割山 13:40 → 大倉 16:00


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波乱の 2013 年を雪山ハイキングで締めくくるべく、年の瀬に雪尾根を気軽に楽しめる丹沢に出かけました。太平洋側の 1000 m 級なら 6本爪のアイゼンで充分だろうと、比較的軽装で早朝に出発。秦野駅発 6:35 のバスに乗るつもりが、勘違いで 30分遅れのバスに乗ることになってしまいました。

それなりに暖かい格好をしたつもりだったのですが、早朝の秦野駅バス停で冷えきったまま回送されてきたバスの冷えた席に腰を下ろした途端に体が震えてきました。念のため持ってきた使い捨てカイロを開封し、サーモスのボトルに入れてきた熱いお茶を口に。

ヤビツ峠行きのバスは始発が遅いので蓑毛から歩くつもりでしたが、道路凍結のためバスはどのみち蓑毛までしか行かないとのこと。蓑毛行きのバスは登山装備を持った人でほぼ席が埋まった状態でしたが、蓑毛バス停でトイレを済ませてゆっくり歩きはじめても、登山道にはほとんど人がいない状態。比較的静かな山歩きを楽しめそうな出発です。

歩きはじめて1時間ほど経つと体が温まってきて、汗をかかないように服を一枚ずつ脱いでゆきます。ヤビツ峠に着くとそれなりの積雪がありましたが、パウダースノーに踏み跡がしっかりついていて、しかも表面が凍っている訳でもないので、気持ちよく歩ける道でした。ヤビツ峠から林道を20分ほど歩くのが退屈でしたが、すぐ登山道に取り付き二ノ塔へ。

天候もよく、尾根を登ると東にくっきりと大山が見えてきました。1時間あまり歩いて三ノ塔に到着。歩いている人も増えてきます。澄み切った朝の大気に輝く太平洋が美しい。


三ノ塔からは痩せた尾根に岩場があったりしますが、人気のある山だけあって鎖や梯子がしっかりしていて、ぼんやりしていなければ滑落するような心配はなさそうです。

冬の空気は澄みきっていて、南アルプスの荒川、赤石、聖岳、そして新宿の高層ビル群や東京スカイツリー筑波山まで見渡せました。


行者岳からの痩せ尾根はちょっと険しく、表尾根の中でいちばん急な岩場を慎重に下りました。下りきったところで、痩せ尾根にかかった梯子を渡って女性の単独行者がやってきました。鎖場を見上げて「ここは厳しそうですね」「いちばん険しいところですね、お気を付けて」という会話を交わしてすれ違いました。

このあたりで後ろからラジオの音が近づいてきました。振り返ると年配の方、山に慣れた様子の軽装でした。私は比較的歩くのが速い方だと思うのですが、そのラジオの音はぐんぐん近づいてきます。ラジオは私を追い抜きざまに「カモンカモンカモンカモンベイベー」と AKB48 の曲を歌いながら、雪の急坂を遥か上に登ってゆきました。カモンカモン言われても速すぎてついては行かれません。

塔ノ岳への登りの最後は雪も増えてきてアイゼンを付けようかどうか少しだけ迷いながら、特に困ることもなかったので足場をしっかり踏みしめながらそのまま登りました。塔ノ岳山頂は人が多く、落ち着ける場所を探すのに少し手間取りましたが、コンロで湯を沸かしてインスタントのドライカレーを作ります。座っているとさすがに少し寒くなりましたが、やはり朝のバスがいちばん寒かったかな。

山頂は360度の展望で、東京どころか東京湾の向こうの房総半島や、伊豆大島、利島、式根島あたりまで見えました。

大倉へまっすぐ下る通称「バカ尾根」は急降下で雪も多いので、アイゼンを付けて下りはじめましたが、人も多く気を使いそうだったので、鍋割山稜への分岐を曲がりました。

鍋割山稜からは丹沢主脈丹沢山蛭ヶ岳が美しく見えます。塔ノ岳からずいぶん下って鍋割山へ。

鍋割山荘の鍋焼きうどんはおいしそうでしたが、塔ノ岳でお昼を食べてきたのでパス。

鍋割山でアイゼンを脱いで後沢乗越から二俣方面に下りました。沢筋でアイゼンの泥を洗っていると、川に氷の花が咲いているのを見つけました。

大倉のバス停で靴を洗ってからバスに乗車。登ってきた山々が夕陽に照らされていました。澄み切った空と白い雪で一年の汚れをすべて振るい落としてきたような爽快な山行でした。

こうして私の2013年は幕を閉じました。いつも読んでくださる方々、ありがとうございます。そして今年、2014年もよろしくお願いします。