minofoto and miscellaneous notes

ごく気まぐれに,書きたいことを適当に書いています。本当の話かもしれませんし,フィクションかもしれません。

しあわせについて

JAF メイト11月号の冒頭に北川悦吏子さんが書いている「しわわせの呪縛」というエッセイがとても良かったのでメモ。短いエッセイで、著作権侵害になっちゃいそうな気もするので、内容は紹介しない。JAF メイトが手元にある方はぜひ読んでみてほしい。

私が人生の中で「しあわせな瞬間」として特別に記憶しているのが、とある春の夕暮れのこと。自分の息子が少し大きくなり、手がかからなくなってきた頃、アパートのベランダでニラを植えて育て始めた。とはいっても、プランターに近所のホームセンターで買ってきたタネをまいただけ。息子が遊び疲れて家族みんなが昼寝をしてしまった夕暮れに、ひとりでベランダに出てニラが育ってきたのを眺めていた。周囲は一軒家ばかりの住宅街で、家々から夕飯の支度か、片付けなのか、生活感のある物音がカタコトと響いてきていた。陽が傾き、空の色が青からくすんだブルーに近づいていった。ただ風だけが通りを抜けてゆき、ニラがそよそよと揺れた。

なぜあれが自分にとって忘れられない「しあわせな瞬間」のひとつなのか、不思議な感じをずっと抱いていた。あの頃、仕事は大変で先の見通しも立たず、かなり辛かったはずなのに。でもあれが幸せなのだということが、北川さんのエッセイを読んで腑に落ちた。幼い頃もそういうしあわせな瞬間がたくさんあったと思う。今の生活でも、なるだけそれを増やせるようにしていきたい。

とても良い文章を読ませてもらったと思う。


追記
もう一つ、今日はとても嬉しいメールをいただき、丁寧にお返事した。失礼かもしれないが、相手をきちんと見て、感情が丁寧にこもっているメールはラブレターみたいだな、と思った。性別とか役割とか関係なく、相手を深く思いやると、限りなく恋文に近くなる。いや、若い頃に書くラブレターは必死すぎて「しあわせ」だなんて思いもしなかったので、やっぱり違うかな。
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今年は遅いですが、もうすぐ雪の季節になりそうです。